2005北海道〜東北 6

碇ヶ関の道の駅の朝 仮設テントの下にバイクごと避難したおかげで 夜半の雨にも濡れず 快適な朝を迎える。
朝からチェーンを調整し あらかじめ買っておいたエンジンオイルを交換し 残った余分のオイルはペットボトルへ 古いオイルは 空いたオイル缶に入れる。古いオイルはガソリン補給の際にどこかのスタンドで引き取ってもらおう。

これだけの作業を済ませ、碇ヶ関を出たのが6時。早起きは千円の得(メンテ代)

そろそろチェーンが限界に近づいている。引きしろが目盛りギリギリに来た。もうこれ以上 引くことが出来ない。なんとかしなければ・・・

膝元にセットした布製バックには マップと充電キットを収納してある。
バッテリーから引いたプラグを 変換機に繋ぎ携帯電話や デジカメのバッテリーの充電に使っている。
ただし雨の日は 使えない。機器が濡れると 危険だからだ。今日は 朝から良い天気なので使えそうだ。
今使っている電話は バッテリーのもちがたいへん良い 使い勝手が悪く ちんぷんかんぷんのインターフェースは困りモノだが それはあくまでソフトの問題で 持ち主の頭の切り替えと 慣れの問題だ。
デジカメなどは低画質で動画もないが ハードには満足している。
ハード良ければ全てよし。

秋田県境を越え 大館から秋田市内へ向かい 大きな都市秋田にはいる。
都会はどこも同じ顔と匂いがする。
広い道路とスムーズな車の流れは いつのまにか 私とハンターを 街の外へ押し出していた。

道端のコンビニで近くにバイク屋がないか 店員のおねえさんに聞いてみる。
今来た道にあったようで 少し戻ることにした。

やっと見つけたバイク屋は とても小さなところで 当然チェーンの在庫はなく 店主に聞いてみると 多分秋田市内なら どこも在庫しているような品番ではなく 取り寄せになる種類のチェーンだという。

雪の多いこの地方では バイク屋は少なく どこも交換部品は取り寄せでしか手に入らないらしい。

ハンターのチェーンは CD125かセローの使っているチェーンと同じ番手なのだが どちらもあまりこの地では見かけないということだ。

仕方ないので チェーンのコマをひとつ切ってもらうことにした。最近のバイクはチェーンの引きしろがいっぱいになったら 交換時期だといって コマを切ったりしないのだが この場合背に腹はかえられない。
さてどうなることやら。

ひとまずチェーンの恐怖はなくなったので 秋田市内から情緒たっぷりの街城下町角館に向かう。
こんな立派な街並みの 武家屋敷群をみたのは初めてだ。広い道路に高い屏の続く武家屋敷群 家の前には水路が巡り 庭木は木陰を通りに落としている。
枝垂れている木は桜のようだ。
春に素晴らしい景色になりそうだ。

武家屋敷からすこし離れたところにラーメン屋を見つけて入ってみる。今日はじめての食事だ。

蕎麦屋のような店内は 地元でよく行くトンコツラーメン屋とは 随分雰囲気が違う。
出てきたラーメンも 手打ちの麺と魚系のだしが混じった鶏スープの和のラーメンだった。

ひとくちにラーメンと括ってしまうが これほど幅の広い食べ物であったかと あらためて驚いてしまう。角館 「にぼしや」

東北秋田県とはいえ お盆前のこの時期 一年で一番暑いであろうと思われる。
昼間は大阪となんらかわらず暑いのは同じ。
体力温存に山間部を抜け 海へ出る。海側は風があって やや涼しい。

早いもので いつのまにか秋田県の海岸線最南端 象潟(きさかた)  の道の駅。

象潟は芭蕉の奥の細道の最北端到達地。
当時は 松島のような風光明媚な多島海の地だったが、大地震で付近が隆起して 現在の陸地ができあがった。芭蕉の句にちなんで 道の駅の温泉は ねむの丘というネーミングを名乗っている。

地震といえば このところ各地で地震雲や 雷が多発して 民間の地震研究家は しきりに警告を発していると週刊誌に出ていた。
とりあえず 地震の巣が多い 太平洋側は避けて通りたい。
こちら側で危ないのは 新潟くらいか・・・

旅に出て一番のお楽しみ 地元の食べ物との出会い。
大きな岩牡蠣をいただく。
岩牡蠣は 夏でも生で食べられる貴重な夏の味覚で せっかくだから特大をいただいた。
食べてみると 実際自分が食べていた生牡蠣とあまりに違うので 驚いた。
身は歯ごたえがあって 歯を押し返すくらいしっかりしており 冬牡蠣のような ねっとりした濃厚な内臓の味がなく どこまでもあっさりとした貝のしゃきしゃきした歯ごたえだけ味わえる ホタテの貝柱のような味わい。
曇りのないすっきりした貝の味だけがして はじめて食べた味がした。
味付けは塩水だけの象潟の海の味がした。

普段あまり生の貝を食べない私が 感激したくらい美味しいものだった。

夕陽が迫るそろそろねぐらを捜すが 電話をしたユースはあいにく繋がらない 酒田を過ぎ鶴岡まで来てしまった。
しかたない 道の駅でまた寝ることにするか
。各地の道の駅は クルマの旅行者が 夜になると集まって そのまま宿泊するのを沢山見かける。いつもバイクライダーは私くらいだが トイレがあって水場があって バイクと自分を雨から守ってくれる少しばかりの軒(のき)があれば 申し分ない。

ただし ゴミはきちんと始末する 汚さない 火は使わないなどの最低限の節度は必要だ。
しかし 夜はどこも人が多いので やかましくて寝にくいことも多い。私はどこでもいつでも どんな状況でも 寝ることは簡単なので 気にすることはない。神経質なひとには とてもできないだろう。


鶴岡市内手前のガソリンスタンドで 道の駅の場所を聞くと 旧道の7号線にあるという。
道の駅 「みかわ」は 宿泊施設もある道の駅で 温泉施設もあり 宿泊を申し込んでみると
空き室があるということで 泊まることにした。
ハードツアラー(笑)としては 不本意ながら 今日は布団で寝ることにする。

宿泊棟は凝った作りで 円形に連なった客室の真ん中に 広い箱庭があり 庭は廊下のどこからもガラス戸から見ることが出来る。

ちょっと良い旅館のはなれをまねているようだ。

風呂は棟続きの日帰り入浴施設を利用でき 大浴場は人気があって 混雑していたが 空いた夜になってから ゆっくり入ることが出来た。

フロント係は チャーミングな美人だったが きれいな標準語で話されていて たぶん秋田美人ではないようだ。

食事は別棟の食堂(日本料理)かイタリアンレストランで食べることになる。(有料)
浴衣に着替えたので 日本料理のほうへ。
並ランクの定食と地烏賊の刺身赤エビのから揚げとビールを頼んだ。
リーズナブルだったが 美味しかったので 芋焼酎を数度追加して 楽しんだ。
菊の花のおひたしは こちらに来てから 毎日出てくる。
花を食べる習慣のない関西人には 物珍しく目に楽しい食べものだ。

客室は簡素なシングル
広くはない部屋だが 必要にして充分。
照明の暗いのが気になったが 清潔な室内と
柔らかいベット テレビがあってトイレ 風呂
落ち着いた雰囲気は 一日の終わりを過すのには 快適そのものだった。

明日の天気をテレビで調べると 私の進行方向は雨らしい。山側へ逃げるか 後戻りして 青森へ行けば 晴れ間が待っている。
しかし 新潟へ行くためには 南下するしかない。

なんとしても 日本海沿いに新潟へでたいのだ。
道中の好天を願って寝ることにする。


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