ドレンボルト

行きつけのバイク屋さんで バイクトラブルを起こした人が(私の友人) 相談に現れました。
一緒に話を聞いてみると ドレンボルトをダメにしたらしいのです。

初心者の人に 説明しますと、バイクで普通ドレンボルトというと エンジンオイルを
排出するとき外す 蓋のようなネジです。(風呂のセンみたいなものかな)

カブやハンター その他殆どのバイクは エンジンの一番低いところ 底についています。
オイルたまり(オイルパン)のあたりに ネジが切ってあって エンジンオイル交換のときは
そのネジを外して 古いエンジンオイルを抜き取って またそのネジを締めてから
規定量の新しいエンジンオイルを上から補充するのです。
(アバウトな説明ですみません)

我々がよくやる失敗というのは ドレンボルトの頭の部分を いい加減な工具で捻って 
頭を舐めてしまうこと。
舐めるというのは 六角ボルトの頭の角を削ってしまって 工具を当ててもゆるゆるにしてしまうことです。

この時は メカニックの人も 横で見ていた私も 角を舐めてしまったと思って 対応していました。
でもどう聞いても 話しのつじつまがあいません。

よく聞くと ネジの頭をねじ切ってしまって ネジの頭が取れてしまい 蓋がかかったまま 緩めることも締めることもできなくなったというのです。(つまり首ナシのネジが埋まったままなのです)

彼が使っていたドレンボルトというのは 純正の元から付いていたものではなく 社外品の
レース用のアルミ製のドレンボルトでした。

鉄製のドレンボルトに較べて アルミのものは 軽くてきれいですが 鉄に較べて強度からみると お話にならないくらい劣っていて プラスチックなみに柔らかく 取り扱いには細心の注意が必要です。

アルミボルトはどんなに優しく締めこんでも 締め具合が難しく 経験がなければ上手く締めることができない 難しいネジです。

頭のなくなったネジを外すには ネジの真ん中にドリルを通して その穴を徐々に大きくしてゆき 最終的にネジを割って取り出すしかないと思われ(他に方法があれば ご教授ください)

エンジンをばらして 部品単体で作業しないと 出来ない作業だと思われました。
そのままエンジンをばらさず この作業をやると アルミの削り屑がエンジン内に残る可能性が大きく それが内燃機関やミッションに紛れ込むと 焼きついたりトラブルを起こす原因になってしまいます。

バイク屋さんも同じ意見でした。
持ち主は しばらく考えます・・・といったきり 以後の作業は 保留になりました。

数日後 彼から連絡があり その後のバイクの様子を聞くと あのネジが外れたと報告がありました。

しばらくバイクに乗っていると 振動なのかそれとも 暖めた結果なのか ねじのところから オイル漏れがあり 点検してみると 折れたネジは 指で外れたというのです。
不幸中の幸い 気がつかずに走行していれば センが抜けてオイルが抜け 空になったエンジンで走れば焼つきを起こしているところでした。

考えただけで 恐ろしいことです。

ネジを締めるというのは 整備の初歩の初歩ですが 何をするにも物事にはルールがあり
簡単ではありません。
シメ加減(トルク管理)だとか 複数を締めるなら 順番があるとか まず指で締めていってから工具を使うとか オイルをたらしてから閉めるもの オイルをつけてはいけないものなど 色々な約束事があります。

どんな作業でも 我流でやるのは危険だと思います。

社外部品を扱う時は 特に注意が必要で 部品の役割を理解し 使用しないと 危険な場合もあります。 

失敗は成功の元という言葉がありますが しなくて良い失敗は減らせるのです

作業する前に あなたの周りに居る先輩に 出来るだけ聞きましょう。。

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