はんぶんこ

ある日会社の休憩室で　みかんのお土産をもらいました。
のどが渇いていたので　嬉しかったのですが　ちょうど私の向かい側に
知り合いの女の子が　座っています。

一人で食べるのもなんですから　女の子に
「みかん半分食べる？」　と聞いてみると

「はい」　という返事が返ってきたので
早速　皮ごと真ん中から割って　みかんを女の子にあげました。

女の子も私も　同時にみかんを美味しそうに食べました。

話はそれだけだったのですが　
それを見ていた私の後輩が　さかんに意見をしてくるのです。

「Bさん　あれはおかしいですよ」
「みかんをはんぶんこなんて　普通はやりませんよ」

「なんで？」

「彼女でもないのに　食べものを半分に割ってあげるなんて　
考えられません」

「そうかなー　私は昔からやっていて　自然なことですけど」

「兄弟同士とか　仲間や友人には必ずといっていいほど
食べものを半分　人にあげますけど・・・」

それでも彼は　おかしいおかしいと　言っておりました。

数日後　彼がはんぶんこに　こだわった理由が分りました。

彼はまわりに内緒で　彼女と付き合いだしたばかりだったようです。

彼にしたら　私が彼女に　はんぶんこなんて親しいことをしたおかげで
心中穏やかならず　やきもちを焼いたらしいです。


どうやら　私がこういったことに鈍いらしく　すれすれで恨まれたり
また　相手を失望させたりなんてことも　過去にはありました。

この二人　このあとうまくいっています。

良かった良かった。

でも・・・みかんはんぶんこくらい　別にいいじゃないですか・・・
・・・・ねえ？


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