伏見ブラブラ 京都府伏見区桃山界隈  水をめぐる旅 2005/10/10

たまにはバイクに乗らず電車で移動して 街歩きしてみます。
歩く速さで見てあるくと 新しい発見があって また街が好きになります。

京阪電鉄伏見桃山駅から 西へ伸びる通りが 大手筋商店街です。
ここは私鉄沿線のどこにでもある 生活のにおいのする商店街です。

ここをぶらぶらと 西方向へ向かいます。

普段着のこの街は なんでもない所ですが 実はとても由緒正しい 歴史の街なのです。


大手筋商店街をアーケードの切れる西の端まで行くと 龍馬通り商店街が 南方向に伸びています。
突き当りまで行くと 有名な寺田屋のある通りに 交差します。

このあたりの裏側は 酒蔵の密集地帯で 有名酒造メーカーの酒蔵から 中小メーカーの酒蔵まで いろいろな酒蔵が並んでいます。

龍馬通り商店街の一角の お茶やさん。
「本まもん宇治茶」標準語になおせば 「本物の宇治茶」になります。

京人にとっては 宇治茶というのは どこよりも最上最高のお茶で 較べるものがないといわれます。

さて私にはわかりませんが・・・

最高のお茶も 良い水がないと その味を発揮できません。


伏見桃山駅の北側には 名水で名高い 御香宮(ごこうぐう)があります。本殿横には酒造りに使われるのと同じ水脈の地下水が出ていることで有名な神社で ここの水は甘く柔らかい水として 日本名水百選にも指定されています。

私もたまに御香宮までこの水をいただきに行きますが 本当に美味しい水です。

今日は反対方向にきていますので この水はいただけませんが 付近の各酒蔵で 同じ水脈の水が 酒作りに使われているので 酒蔵見学の際 飲ませてくれる所へ寄り道します。

龍馬どおり商店街を抜けると 付近一番の名所 寺田屋旅館があります。
ご存知のように 幕末薩摩藩士9人が同じ薩摩藩士によって上意討ちされたところ。

また坂本龍馬所縁の宿でもあります。

寺田屋はもと船宿で このあたりの地勢的役割が良く解る場所にあります。

江戸時代大阪の物資は淀川を遡り 宇治川にはいり ここ伏見あたりの港から 京へ運ばれました。
京坂街道は大きな水運によって支えられ ここ伏見のこのあたりは 人と物が多く往来し 付近には大きな蔵や 商店 また遊郭など様々な繁栄の後が偲ばれます。

京都でもない 大坂でもない 古くは豊臣秀吉や淀殿のひらいた淀城にも近い 江戸の最初と最後の歴史を締めくくる大切な場所なのです。
観光で運行されている十石舟。
酒蔵 大倉記念館(月桂冠)の裏手から出ています。
昔はこの運河も もっと幅が広く 大型舟が行き交うことが出来たそうですが いまは観光用に使われているただの水路なので 往時の面影はありません。
伏見は街中に運河があるくらいですから 昔は相当大きな都市だったのです。

この街の遊郭は 撞木町(しゅもくちょう)といい 京の祇園や島原より古く大きな遊郭だったのです。
場所はお隣の京阪電鉄中書島付近が遊郭のあったところ。
この運河からすぐの場所です。

坂本龍馬や勤皇の志士達が遊んだのも 実はこちらのほうでした。

なぜか偶然にも柳が植えられていますが 柳は遊郭の入口に植えられている樹木なのです。

すこしもどって 龍馬通り商店街の裏手 黄桜酒造の経営する 「黄桜カッパカントリー」に寄り道します。
ここは酒蔵とブルワリー(ビール醸造所)レストランと 小さな私設博物館(昔の酒造りの様子を展示しています)

併設のカッパギャラリー
漫画家清水昆さん(故人)のカッパ天国は 長い間黄桜の看板マスコットキャラクターでした。

私の世代は2代目小島功氏のモノしか知りませんが ギャラリーで見ると 先代の清水昆氏のカッパもデフォルメが効いて とても楽しいキャラクターで魅力がありますね。HP

昔CMを見た世代としては 女性のカッパの姿にドキドキした想い出があります。

♪かっぱっぱー るんぱっぱー カッパ黄桜かっぱっぱっ ぽんぴりぴー 飲んじゃった ちょっといい気持ぃー ♪
歌は楠トシ江さん。

全国のカッパ伝説の紹介や 河童についての書物 世界のカッパなどの資料が展示されていて とても楽しく過せます。

さて黄桜酒場にも寄りたいところですが 昼前から団体さんで満員で 随分待たされそうだったので 次回にまわすことにして 次の酒蔵へ


すこし歩くと 酒蔵メーカー「神聖」がやっている 鳥料理や「とりせい」さんによってみました。
あいにくここも満員だったので しかたなく同じ並びの土産物屋にはいってみると 面白いものが・・・・

神聖経営の売店には 清酒 漬物などがメインの商品でしたが なかに面白いものがありました。
「古酒ソフトクリーム」
バニラソフトクリームの上から 3年ものの清酒の古酒をかけてある オトナのデザートです。
食べてみると ふんわりとした米の香りがして まろやかな甘さのとろっとしたやや黄色めの酒と冷たいソフトクリームが渾然一体になって 不思議な美味しさでした。

古酒はツンとした鼻に来るものがなくて 酒の香りと米の香りが同時に香ってきて 珍しくも楽しい不思議な体験でした。

バイクで来なくてよかったですー

ぶらぶらと歩いているうちに 三軒目の店 月桂冠大倉酒造さんのエリアに着きました。
まず喫茶室「伏見夢百衆」を覗いてみます。

しかし大倉酒造さん 実に重厚な それでいてしゃれた建物ですねー
建物というより 街そのものを作っているというのが感じられます。

酒蔵なんかより ずっと凄いです。

大倉酒造サロン 「伏見夢百衆」
ここは コーヒーやケーキ デザートなどの喫茶が楽しめたり 利き酒セットが幾つもあったり 夜には軽くお酒が飲めて おばんざい(京のお惣菜)が食べられたり 和洋のおつまみ(適価)が食べられたり 生ピアノの演奏があったり 上品でそれでいて気軽で暖かい雰囲気が 魅力的でした。

店員さんは着物姿に割ぽう着のきれいなおねえさんで 笑顔がすてきな接客で ほっとしました。

リピーターになりそうですー

早速頼んだのは 利き酒セットと おつまみセット。
酒は左 斉藤酒造「古都千年純米吟醸」すっきりとした辛口のふくいくとした香りが素晴らしいお酒 優しくも香りが立った旨口のお酒。

右は 増田徳兵衛商店「純米酒旭」 重く力強く米の香りの強い やや個性の強い辛口の男酒
でも純米酒のわりには アクが強くないのでした。

この日は体調からか 左の吟醸酒が身体に合いました。

つまみは左から漬物と軽い佃煮3種盛り(柴漬け ごぼうの佃煮 竹の子の佃煮) 真ん中引き上げ湯葉刺身  右 生麩の佃煮 
ごぼうと竹の子は 京都らしく薄味で塩気が薄く 酒の邪魔をしない控えめな味  引き上げ湯葉刺身は 柔らかくしっとりとクリーミーで また甘く香りもよく 絶品でした。

また生麩の佃煮は ゴマをまぶし甘辛い味付けでしっかりとした味付けは まるでアサリの佃煮のようでした。
実際は小麦粉から採られたグルテンで作られているのですが それを忘れるような出来栄えは 見事なものです。

三皿とも美味しくて 一度に一人で食べるのは あまりにもったいなかったので 漬物その他を家人に持ち帰りました。

着物のおねえさんは 嫌な顔ひとつせず 私に頼まれるまま 持ち帰りに この漬物を包んでくれました。(ありがとうございます)
うまい酒で舌をぬらした後は 本館の月桂冠大倉酒造記念館へ向かいます。
焼いた杉板屏の蔵が続くこの通りは 実に絵になります。これ全部数十メートルにわたって 大倉酒造の建物なのです。

背の高い はるか上のほうに天窓のある蔵は いまも繁栄の続く大倉酒造のシンボルなのかもしれません。白と黒と濃茶の作る空間は 曇り空のした 清清しく凛とした雰囲気をあたりに漂わせています。
これこそが本当の蔵のある街なのです。


大倉記念館は 入場料300円を払ってはいります。
(酒一合お土産つき)
希望により ガイドが付いて 見学できます。

酒作りの行程をゆっくり聞いていると 高い天井や端正に組まれた梁など 本物の迫力が迫ってきて 蔵人になった気分です。

おっとその前に 利き酒コーナーで 美味しいお酒をいただきます。
この日は 昔作りの清酒(やや重く荒っぽい)と 今の代表的な清酒(やや軽くクセが少ない)と 果実酒と3種でした。

どれもそれぞれ個性が違いますが それぞれ美味しいお酒でした。

この瓶 もって帰りたいなぁー

さて玄関まで戻って 入口をあらためて見てみると 本当に立派な建物ですね。
こんな場所 なかなかないと思います。

外国の人にもみせたいですね。

さて大倉記念館のとなりの敷地内には 付属のレストラン「月の蔵人」があります。

さっき伏見夢百衆で食べた 湯葉が忘れられず 同じものがないか聞いてみると ここは湯葉と豆腐料理がメインの献立だと教えられ 勇躍食事をすることにしました。

日替わりランチや 洋物は無視して 豆腐と湯葉が付いたランチを注文。。

美味しかったです! 大満足です。

食後 川風にあたりに・・・

ああ   酔っ払っってないなあ。
ほろ酔いとまではいかず しっかりとした足取りで 近くの京阪電鉄中書島の方へ
もとの橦木(しゅもく)町は 寂れた飲み屋街になりはてて ややヤレタ看板には
特有のムードが漂います。
川のあるまち・・・・
ちょっと雰囲気あるかも?

今日は美味しい散歩になりました・・・・とさ。
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