フェリー狂想曲

いまでこそ 夏の北海道のフェリーチケットは ネット販売をするくらい手軽なものになりましたが 昔はお盆のチケットというのは なかなか手に入れるのに骨のおれる プラチナチケットでした。
お盆の時期 北海道行きフェリー(関西からは 日本海まわりの「新日本海フェリー」)は 一年で一番の繁忙期で 船券がなかなか取りにくい状況になります。

殆どの人は 旅行会社に予約を入れて 券を手に入れようとするのですが これが確実に取れるというわけではなく 取得確率の低いものでした。

というのも 旅行会社は チケットを取っても わずかな手数料しか得られず うまみのない仕事なので 不熱心(たぶん)なのだと想像します。

チケットを取るには 乗船2ヶ月前の当日というルールがあるのですが たとえば 8月10日乗船予定なら 予約開始日は 6月10日の午前9時ジャスト。

チケットは電話予約なのですが 旅行会社でも個人でも 同じ条件で同じ時間に一斉に電話をすることになるのです。
同じ時間に電話が殺到する為に フェリー会社の予約センターになかなか繋がらないのが 普通です。

旅行会社に頼むと いろいろな対処が見られます。
大きな旅行会社でも 案外本社で一括して 予約をするのではなく こうした個人の単体のフェリーチケットの予約は 支店の窓口の社員がフェリー会社に直接電話をかけて アクセスするなんてのが 普通に行われているようです。

じゃ本社は何もしないのかというと そうではなく 大口のお得意様や 自分のところのツアーで使うフェリーチケットを優先的に取っています。

さて 支店の社員が予約を取る場合ですが 独立店舗なら 9時に取ってくれるのですが ショッピングセンターやデパートに入っている 複合店舗なんかだと そこの開店時間の 出勤時間に合わせて10時に電話するところもたまにあるのです。

10時というと 予約開始から1時間も経過していますから お盆のチケットは売り切れている可能性は高いです。こんなところには 予約を頼んではいけません。

9時から取ってくれる店舗にまず頼むのがセオリーなのです。

さらに 滑り止めに 自分でも予約電話をいれます。

いまでこそ携帯電話がありますから 9時ジャストに電話をいれるのは 容易になりましたが 昔主流だった 公衆電話や一般加入電話では 9時ジャストに電話するのは 至難の業です。

ですから予約センターには まず繋がりません。
なんどやっても「ツーツーツー・・」と鳴るばかり ここで殆どの人は諦めそうになります。

なんせ朝の9時ですから 普通は仕事中です。
上司の目を盗んで あるいはトイレの個室に隠れて あるいは外回りに早々と出かけて・・・
携帯電話のなかったころは もっとたいへんでした。
仕事の電話のふりをして ポーカーフェイスで芝居までしながら・・・

でも電話は繋がりません。

ここで目端の利いた者は 一ひねりします。
予約センターを避けて 港に直接電話します。でもこんなことくらいは 誰でも考え付くことです。次に船会社の北海道支店へ そこがダメなら 東京の予約センターへ
意外なことですが 関西と北海道を繋ぐ路線で 東京には拠点もなく 支店なんかありそうに無いのですが なぜか予約センターだけがあるのです。

ここはわりと繋がる確立が高いように思います。

さらに 途中の寄航地の秋田 新潟 まで電話します。
この辺はさらに繋がる確立が高くなります。

さらに捻った裏技は 旅客ではなく 貨物車専用の予約窓口に繋ぐのです。
繋がってしまえば 秋田だろうが 貨物だろうが パソコンに繋いで受付してくれます。

電話代を惜しんでいては 船券はとれません。
ここで船券が取れれば しめたもんです。

しかし不幸にも 予約満杯で チケットが取れないことがありました。
こんなとき私は 翌日に一日遅い日付の切符を取ってしまいます。
つまり出発1日遅れの切符を買ってしまうのです。

それからが たいへんです。
まいにちフェリー会社に電話して 目的の期日のチケットのキャンセルが出ていないか 問い合わせをし続けます。
もし出たら 急いで切符を買った旅行センターまで行って 先に買ってしまった 一日遅れのチケットを持っていって 希望の日時の乗船できる切符と 交換してもらいます。

さらに不幸なことに もし出発まで 乗りたい期日の切符のキャンセルが出なかったら 乗船予定日に港に行って 切符販売窓口に行って 翌日乗船予定のチケットを 当日のチケットと交換してもらうのです。

こうしたやり方は 賢いやり方で 最悪でも当日キャンセル待ちの列の 最前列の順番まで 回してくれます。
ただし 希望の等級(2等とか 1等とか)が取れるかは 微妙なところですが。

こうしたテクニックは 今でも立派に有効な技なのです。

さて 他のテクニックは またこんど続編に譲ります。

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