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カップライス

私は 初めてのロングツーリングが 北海道ツーリングでした。
よい学生時代でした。

バイクの都合がつかず 仕方なく兄貴に借りた原付バイク
ヤマハミニトレールGT50 ※1で 敦賀から船に乗り32時間かかって小樽港へ。

夏休み前半はアルバイトに明け暮れ その資金をもってお盆過ぎに出かけました。

道東 道央をまわり札幌から南下して たどり着いたのは函館でした。

ここで ある人に再会しました。

道東や道央で偶然一緒になった 細木さんという方で 私よりふたつ年上の大学三年生。 
東京から下道で走ってこられて 帰りも下道で帰られるということでした。

バイクはホンダ DAX ST50。※2
燃費は私のヤマハミニトレ50より数倍いいのですが 燃料タンクがたいへん小さいので
航続距離ははるかに少ないのでした。

函館でお会いして この旅で 三度目の再会でした。

数日前に会ったばかりなのに もう懐かしくて懐かしくて、嬉しさにジンときました。
この人とは 駅の表で一緒に野宿したり ラーメンを食べに行ったり 短い間でしたが
数日行動を共にしました。

函館で再会した日は 一緒に函館山に登って 日本一といわれる夜景を見ました。
今度来るときは 彼女を連れてこようね・・と言い合いました。

翌日 細木さんは 青函フェリーで海を渡って青森へ行くというのです。
私は さすがに彼に着いていって 東京周りで大阪に帰る勇気が有りません。

初めてのロングツーリング フェリーで北海道に来ただけでも 私には「いっぱいいっぱい」なのです。

 彼の他 彼と同じように 原付で本州を走って帰る人達を見送りながら 港には私一人
独りぼっちになった寂しさと 惨めさを味わいながら ずっとずっと見えなくなるまで船に手を振っていました。

早朝の船だったので 見送った後に 函館の街で通勤ラッシュにあいました。
函館の街を出るのに一苦労。

国道5号線。
こちらの車線は 比較的空いているのに 函館の街に向かう方は 車でびっしりでした。
函館の街を少し離れてから 腹ごしらえをしました。

当時はコンビニエンスストアなんかも少なくて 朝からご飯を食べる場所も見当たりません。
七飯(ななえ)というまちで コインスナックを見つけて入りました。※3

そこにあったのは カップラーメンの自動販売機と ジュースの自動販売機
それから 当時としてもすでに珍しかった 日清食品のカップライスという商品の
自動販売機でした。※4

私はカップライスの販売機で エビピラフのカップを買い お湯を注いでエビピラフを作りました。
お米をふやかす間に 今朝のことを思い出してしまい 感慨に耽り ひとり落ち込んでいました。しらぬ間に涙が出て頬を濡らしました。
なんだか分らず泣いていました。

別れが悲しかったのか、

海を渡って自走する勇気が無い自分が情けなかったのか、

置いていかれた自分が寂しかったのか、

それは 何もかもが一緒くたになって 思いが堰を切って溢れだしたのでした。

エビピラフは時間を置き過ぎて ふやけきってしまい 柔らかくて崩れてどろどろになり
食べられたものでは有りませんでしたが 涙の塩味とともに 忘れられない味です。



※1 ヤマハミニトレールGT50
ヤマハオフロードシリーズの末弟。有名なDT-1(250) HT-1(90)
AT-1(125) CT-1(175) RT-1(360) などが上級車種。

ミニトレは最初FT-1という名前でしたが 後にGT50と呼びました。
ミニトレは他に80もありました。
小さい車体でしたがよく走り 当時流行ったミニバイクレースでは 多数を占めました。



※2 ホンダDAX ST50
レジャーバイクというジャンルを作り上げたといってもいいくらい 当時センセーショナルで
売れに売れたファンバイク。

2stのヤマハ カワサキ スズキに対して ホンダが4stで戦った勇気あるモデル。
エンジンはカブ系で 耐久性では2stに勝っていましたが、馬力では及ばなかった。
モンキーは先輩モデルですが ひとまわり大きかった為 モンキーの兄貴分という位置づけでした。



※3 コインスナック  ジュースやハンバーガー うどんなど 食べもの系の自動販売機ばかりひとまとめに集めて イスとテーブルなどを揃えてある無人食堂 無人といっても管理人とか警備員が裏に潜んでいたりしてました。

※4 カップライス
カップヌードルに続いて日清食品が販売した ご飯版カップヌードル
後のカップ焼きそばと同じように お湯を入れてふやかして お湯を捨て
(中ブタがあるのでこぼれません)逆さにして蒸らし 3分待ってから
粉調味料と調味オイルを混ぜて仕上げます。
味 食感 風味など よく出来ていました。

本物のエビピラフとは似て非なる食べ物でしたが 現代の山用の非常食と較べても
カップライスの方が ずっと良く出来ていて 美味しいものだったと思います。

個人的には再販を望みますが 本物のご飯の完璧なレトルトパックが 安価で販売されている現状では たぶん商売にはならず 再販は無理と思われます。

私の記憶では(あてになりませんが) エビピラフ ドライカレー 赤飯と あと何種類かあったように思います。フリーズドライの野菜が思いのほか甘くて美味しかったです。


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