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みるひと

友人と飲みに行った日 待ち合わせ場所に一時間ばかり早く着いたので
時間を持て余し 串かつ屋へ入って 一足早く一杯やって友人を待つことにしました。

串カツ屋は カウンター席のみ。
生ビールを飲み始め 串カツを楽しみました。

しばらくすると 隣の席の相客の様子がどうもおかしいのです。
自分が食べている手を止めて こちらが食べている様子を じっと見詰めているのです。

しばらくは相手を気にせず ビールを飲んで串カツを楽しんでいましたが
その異様な目つきがどうも気になりました。

年のころなら50歳くらい 痩せ型の身長160cmあまり 服装はアイボリーのポロシャツに
黒っぽいズボン、この町の住民なのか 足元はサンダル履き。
日に焼けた顔 腕 脂っけのない髪 肉体労働系のおじさんのようです。

私が食べ始めると 私の指先を目で追う様に 掴んだ串カツを見つめ 串カツがソースに浸り
それが口元に運ばれると 口元を見 咀嚼し始めると私の顔をまじまじと見つめ 見とれているかのように目をみはり 私が彼を見ても気がつかない様子で 私が食べている様子を物欲しそうに見つめています。

おじさんの様子は ヨダレをたらさんばかりの勢いです。
ここまで見られると さすがに落ち着きません。

動物にとって 食べるという行為は 本能に繋がる行為です。
それは無防備の瞬間であって 危険に繋がるので 集中的に見られるのは
落ち着かなくなるのです。
そのうち嫌な気持ちがしてきました。

そこで軽い咳払いをしました。

おじさんは はっと我に帰ったのか 急いで私から顔を背けました。
そこで私はまた食べることをはじめました。

おじさんは 串カツを食べることをせず 目の前に置いたまま またこちらを見始めました。
さっきと同じように 穴が空くほど私の口元を見つめ続けます。
生唾まで飲み込んでいます。

気味が悪いので 私はお隣さんに顔をむけ抗議するような目を向けました。

その瞬間、おじさんはオーバーに顔を背けました。
身体はそのままこちらに向き 首だけを真横に向けあさっての方向を見ています。

また私は食べ始めました。

こんどはおじさんは 身体は前を向き 顔だけをこちらに向けています。
ビールを手に取り しかし固まったまま 何も食べずなにも飲まず ひたすら目をぎょろぎょろしながら こちらの食べるのを見つめています。

こちらが隣のおじさんを見ると 首を180度曲げて顔をそむけます。

しばらくこんなやり取りが続きました。
今思うと まるで昔見た 無声映画のチャップリンの喜劇みたいな そんな情景が浮かびました。

こっちが向こうを見ると あちらは瞬時に反対方向を見 こちらが前を向くと あちらが私の方を見るのです。
視線の鬼ごっこ。

そのうち食べものの味も分らなくなり 落ち着かなくなってしまい 私は早々に勘定を済ませて 串かつ屋を後にしました。

「負けた・・・」
店を出るときこう思いました。

別に見られたって 気にしなければいいのですが 私は人間ができておりません。
聖人の域に達するのは 死ぬまで無理というものです。

いや生まれ変わってやり直しても無理かもしれません。


実は この日ばかりではなく 年に何度か こういう目に遭います。 

牛丼屋 居酒屋 ラーメン屋。
ツーリング先や 雑食記の調査の日 日本橋にカメラを見に行った帰りに 
立ち寄った食堂などで こういう目に遭うことがよくあります。

なんなんでしょうね。
よほど美味しそうな顔をしてモノを食べているのか 
或いは冥界の餓鬼に好かれているのか?

霊感の強い人がいたら お願いして見てもらいたいくらい(笑)


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