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お金貸してください

北海道ツーリング中の小樽での出来事。
平成になったある日 久しぶりに駅に行って野宿しようと思いました。

いまでこそライダーは キャンプ場やライダーハウスに泊まっていますが、
昔は鉄道旅行者や自転車旅行者(あちらではチャリダーといいます)と一緒に
大きな駅の待合室や 駅の外の敷地内なんかに マットを敷いて寝袋で寝ていました。

今考えれば みっともない話ですが 当時は鉄道旅行者やチャリダーの数のほうが
バイク旅行者より多く 彼らの流儀で彼らに混じることによって 
「みんなでやれば怖くない」とばかりに水産市場のマグロのごとく 横に並んで寝ておりました。

この年も懐かしい小樽駅で 同じ気分を味わおうと 夜に駅に行きました。
少なくなったとはいえ 自転車旅行者が数人 たむろして荷物を広げていました。

私は彼らの隣に陣取って 寝る場所を確保しました。

大学生らしい彼らは 学校の自転車サークルらしくて 全員連れでした。
その中に 40歳代前半くらいの中年の陽に焼けたおっさんが混じっていました。

大学生とは異質の匂い 放浪者のような旅行者のような 
得体の知れない雰囲気に包まれていました。
格好は半そで半パン ヘルメットに筋肉質の腕と足。
体つきは自転車乗りのそれでしたが 身体から発する匂いは 
おしっこくさい路上生活者の匂いがしました。

北海道では放浪ライダーのなかに ごくたまにこういったタイプの人を見かけますが 
自転車旅行者の中には見かけないタイプです。

意外なことですが 自転者旅行というのは 思ったよりお金がかかります。
我々バイク旅行者はガソリン代がかかりますが 自転車旅行者は 
燃料としてのご飯代がものすごくかかります。

チャリダーは身体が資本です。
ご飯は驚くほど食べます。
新陳代謝は我々の比ではなく 汗をかいて水分をうんととって 沢山食べて 沢山排出します。
殆どの人は きれい好きで 毎日風呂に入って 身をきれいにして 翌日に備えるのです。

彼は他の大学生と楽しそうに話していました。
自慢の自転車を横に置き 大学生と仲良くしていました。
どうやらここで彼も寝るようです。

そのうち駅の食堂へ大学生と一緒に食事をしに行きました。
食事を済ませ戻ってくると 私もそのグループと話すことになり
自己紹介を受けました。

大学生の自己紹介が終わり 彼の自己紹介を聞きました。
彼は島根県の自転車旅行者で 自転車店の店主。
店はお休みにして家を留守にして北海道まで来たそうです。

旅の途中財布を落とし 困っていること 明日 帰るための飛行機代を 
札幌の友人に借りに行くこと 
無一文なので大学生にさっき夕飯代を出してもらったことなど
わりと生々しく切羽詰った現状をはなしましたが 
その表情に困った様子は見られませんでした。

私は彼に同情しませんでした。
彼の話の胡散臭さや会話の軽さに どこかしら嘘の匂いを感じ取っていたからです。

その日は疲れていたので先に寝てしまいました。

翌朝 駅で寝るときのマナーとして 我々は誰よりも早く起きて寝袋を畳み
荷物を片付け 乗降客の邪魔にならないようなところへ移動します。

自転車のおじさんには 昨日冷たくしたのを反省し 
朝食に買っておいたパンを分けてあげました。

おじさんは礼をいって 自分の住所と名前 電話番号の書いたメモを渡してきて
島根に帰ったら礼をするから私の住所と電話番号を教えてくれと言ってきました。

礼はいいですが 帰ってから絵葉書でも交換しましょうと提案して
私のアドレスと交換しました。

この時のおじさんの態度に 人を疑ってはいけないと 深く反省しました。


別れ際 借財を申し込まれました。
札幌の友人宅まで行けば 飛行機代を借りられるので 小樽から札幌まで電車で行きたいのだが 小樽から札幌までの電車代を借りたいという。
自転車は置いてゆくという。

「いっそのこと 飛行機代を貸してあげるから そのまま帰りなさい」と言ったのですが
そこまでしてもらったら悪いので・・・・ということで2千円を貸すことになりました。

住所交換をしているので 連絡は私が大阪に帰ってからで良いと思いました。

彼は喜んで私を見送ってくれました。


ツーリングが終わり 大阪に帰って教えられた番号に電話をかけました。
「・・・・・・NTTです 現在この電話番号は使われておりません・・・・」

その後彼からの連絡はありません。

だまされた私が悪いんでしょうね。

2006年5月 埼玉県で同じような手口の寸借詐欺士がつかまりました。
自転車旅行を装って 埼玉県内で寸借詐欺を繰り返していた男性が
前にだまされた人に警察へ通報され 御用となりました。

もしかしてあのときのおっさんなのかな?
それにしては あれから数年経っています。

まだ島根県までたどりついていないのかな?(笑)


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