ラーメン

世間では 行列のできるラーメン店ブーム。猫も杓子もラーメン ラーメン。
ラーメンでなければ 夜も日も明けぬ。

ラーメン店が 脚光を浴びて 明るい世界に出始めた。
と同時に 値打ちが上がったのか 当初のラーメン好きの層 おっさんだけでなく おネーちゃんや オバちゃん お子様までラーメン店に押し寄せているという かつて無い 活況を呈している。

ラーメンは おっさんの食べ物である。
と言えば 古臭いそれこそ「おっさん」のたわごとだと笑われるだろう。

しかし 老舗のラーメン屋(これも面白い表現かな)を見たら やっぱりおっさんやニイチャンの客が大半だし また良く似合う。
昔は これらの本気のラーメン屋さんは 若いおネーちゃんは入りにくかったものだ。


店は 薄暗く お世辞にも衛生的とは言えなくて 店員だって薄汚れた白い上っ張りが 灰色に見えるくらい 着古して「にいちゃん ちょっとは洗濯しぃな」と言いたくなるくらいの ひどさだった。床はラードでつるつるすべり、天井は油でコテコテ 極めつきは換気扇。 たわしのごとく剛毛を生やして(つまりは 埃と油がこびりついたもの)おかしな音をたてて まわり続ける。

スープを炊きつけるにおいは 妙にけもの臭くて しかし間違いなくゴンゴン湧き続けるスープは 力強く脂ぎっていた。

こんな恐ろしい景色ながらラーメンは 抜群にうまかった。
おっさんたちの タバコのヤニとすえた汗のにおいのするワイシャツ これらの辟易するおっさんのにおいに負けることなく ラーメンはしっかりとした味がした。

今のはんなりとか やんわりとかいう表現の食い物ではなく どっしりとか がっしりとかいう表現の 体育会系の いや 肉体労働者の食い物だったのだ。

主だった 昔からの血をひく 正統派ブルーカラー御用達のラーメンは 今もしっかりとカロリーが高く 脂ぎってこってりしている。
こういった店も 今はおにぃちゃんや おねぃちゃんにも 大人気だ。美味しいものは 誰が食べても美味しい。これはこれで いいと思う。

しかし たまに勘違いする輩がいる。あの だしをとる豚骨を炊く匂いが 臭いと言う。
「ラーメンは好きだけど あの匂いがするから嫌!」と言うのだ。

関西弁で言わせてもらうと「あほか。。。。」である。
ラーメンは もともと下品な食い物なんである。ブタの頭なんである。鳥の骨なんである。
けものの炊いたのである。気取ることはない。奇麗事を言うなよ。

にんげんは 生き物をあやめて それを食べている。自分だけ 手を汚してないという言い訳は通らない。こんなやつは 行列に並ばないでほしい。

世のラーメンブームとは なんなのだろう。ラーメン店が市民権を得たんだろうか?それとも おにぃちゃんや おねぃちゃんが おっさん化したのだろうか?
・・・とくだらないことを考えるこの頃 

昔 母が 私をラーメン屋に連れてくれたとき よく言った言葉があります。
「お父さんには ナイショ 」 「ラーメン屋に連れて行ったいうたら おこられるからね」
よき母でした。 そして私は 昔から子供の時からすでに「おっさん」でした。

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