やぎ汁

私は 人一倍好奇心が強いのか どこにでも出掛けて行って その結果失敗することも
数知れず しかし懲りずにまた同じ事のくりかえしです。

数年前の沖縄ツーリングのことです。その頃沖縄の料理に興味があって 地元の人が多く出入りする 酒場へ行きました。
一軒目は わりと普通のところで 店も広くテーブル席で わりとマイペースで メニューを品定めする余裕もあって イカスミ汁と スクガラス豆腐 あしてびち ソーキそば ラフテー ミミガーの酢の物に泡盛まで飲んで 上機嫌で帰りました。
翌日は調子に乗って もっと裏どうりの 暗くてカウンターだけの 小さな店に入りました。そこで 念願のやぎ料理に トライしました。

最初は 刺身にしました。名前は「やぎさしみ」 (そのまんまやんか!)と思いながらも 生姜醤油をつけて いただいてみた所 まあフツーの味。生姜醤油をつけると たいていは 同じような味になります。鳥のささ身の刺身のような感じでした。
他は やぎ肉を炒めたもの 名前は「やぎいため」(実に分かりやすい!)
これはやめて もう一つのメニュー「やぎ汁」にしました。この名前は 上の二つと違って 少しミステリアスに感じました。
これを頼んだとたん 店のオバちゃんは ニコニコして いろいろ教えてくれました。
 やぎ刺身は あまり沖縄の人は食べないのだそうで やぎ汁こそ正しい食べ方なのだそーです。
このやぎ肉は お祭りや祝い事のハレの日に食べる おめでたい食べ物で 沖縄の誇る伝統の食生活の一部なのだそうです。「本土の人が食べてくれて うれしいねー」と 本当に喜んでくれました。これは ぜひ食べなくちゃいかんと思いました。
いよいよ やぎ汁が運ばれてきました。

丼になみなみと はいった汁物でした。具はヤギの肉。薬味なのか 生のヨモギの葉っぱが ながながと浮いていました。
ヨモギの葉っぱ?・・・こんな匂いの強いもの浮かべてるけど こりゃ〜いらないなと 一瞬思いながら 丼を持ちあげて匂いをかいでみました。

ウッ・・強烈なけものの匂いに息が止まりました。体が拒否反応を起こしています。丼を持ったまま 顔をあげて前を見てみると 店主のオバちゃんの満面の笑顔 いつの間にか両隣に座った 地元のオジサンたちの 興味津々で親切そうな笑顔で 逃げ場を失った私の視線は しかたなく又、丼の中へと戻ります。さあどうする どうするどうする?冷や汗がたらりたらりと出てきました。筑波山のガマガエルみたいです。
眺めるばかりで 凍り付いてしまいました。しかし・・・

勇気を出して 一口すすって見ました・・・・?!▲☆〇#※◆×Ш!?
凄いけものくさい・・正直言ってマトンのような味を想像していました。しかし 私の予想は甘かった マトンくらいなら全然平気ですが そんな生易しいものじゃありませんでした。

オバちゃんと両隣のオジサンは 「どう 美味しいかい?」と聞いてきます。私は 返事すると まともにしゃべれそうになかったので ひたすら無口に黙々と食べ続けました。残すと失礼なので 全部いただきましたが なかなかつらいもんがありました。
上にのってた 生のヨモギ?>美味しかったです。いえ美味しく感じました。これくらい匂いが強くないと ヤギに負けてしまいます。ヨモギがのっている訳がよ〜く分かりました (^^ゞ
結局 お金を払って 何処をどう通って帰ったか 記憶がありません。今でも オバちゃんの笑顔は ハッキリと覚えているのですが・・・

沖縄の方で もしこれを読んで 気を悪くされる方がおられるかもしれません。勝手なことを言ってすみません。ここで お詫びします。(ヤギ以外は なかなかイケましたよ)


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