北海道第四夜

すわっ トラブル?

8月12日 一夜明けて 羅臼の朝。朝の5時から熊の湯へ。なんせ6時から9時までは 清掃で風呂へ入れない。さっぱりして カブラのご機嫌を伺いに行くと、!?また昨日と同じように リアタイヤの空気が半分抜けていた。一晩かけて ゆっくりと抜けたらしい。しばらく考える。最低限のパンク修理道具は 持ってきたけれど ここでは作業できない。カブラの リアタイヤの修理は たいへん面倒だ。カブラカバーがある為、後輪を外さないと作業できない。これがまた クリアランスが少なく 普通の道具では かなり外しにくく しかも作業するのに リアを丸ごと吊り下げないと作業できない フロントなら何とかなったのだが よりによってリアとは。
仕方なく 空気を入れて町まで走ることとなった。荷物を積んで ふもとの町まで行くが やはりバイクのパンク修理ができそうな所が無い。仕方なく知床半島の付け根 標津の町に向かう。途中小さな町でバイク屋を見つけ 事情を話すと あいにくパンク修理できる人が出かけていて 修理できないという。

そこで 道具だけ借りて 自分でやることになった。久しぶりだがなんとかなるだろう。
幸いタイヤは ミミの柔らかいイノウエを履いているし 何とか出来そうだ。
うんしょうんしょと 後輪をはずしタイヤを外している所で 店主のおじさんが帰ってきた。
でやっぱり 餅は餅屋、選手交代してもらった。ついでに タイヤも交換しようと相談してみると、ここらあたりでは たとえカブのタイヤでも 手に入らないとのこと。まして ホームセンターにもありませんよといわれてしまった。そこで 仕方なく パンク修理だけお願いした。

そろそろお盆前、どこのバイク店もお盆休みに入る。もう トラブルに見舞われなければ良いが・・・
ここで コースを考える 久しぶりに川北温泉に入りたかったが 生憎おとといの嵐で アクセス道路が通行止めになったらしい。仕方なく もう一軒養老牛温泉のそばの からまつの湯が候補に上がる ここも川北温泉同様の ご機嫌な露天風呂があるのだが 進む方向が悪い。からまつの湯方面は この時 真っ黒な雲が空を一面に覆っていて 今にも降りだしそう。くわばらくわばら もう雨はたくさん!

仕方なく ライダーの聖地、中標津(なかしべつ)の開陽台に行くことにする。
開陽台の近くには ゴキゲンな直線道路が幾つも走っている。さすがの私も ここでは飛ばさない。うねるようなアップダウンを味わうように ゆっくりと道路をなめるように走る。あいにく今にも降りだしそうな嫌なお天気だが 気分は高揚してきて そのまま開陽台まで上りつめた。
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開陽台では 色々なライダーさんとお話した。大阪では 見ず知らずの人にこんなに簡単に お話しすることはありえないが バイク乗りというキーワードだけで ここでは気軽に声がかけられるし答えてくれる。特に 印象に残ったのが 姫路の 「りきまる」さん。またの名を「ブロスマン」そう私と同じ ブロスを名乗るライダーさんです。
乗っておられるバイクが ホンダブロスでした。「ブロスマン」さん ←クリック
写真を撮っていると 案の定というか お約束の雨。急いで中標津の市街まで下りる。

うまい具合に 中標津に逃げると こちらは乾いている。今年の北海道は どうもおかしい。まるで熱帯のスコールのような雨がふるかと思うと 数キロ先ではなんともない。
おかげで まだ旅行中スカッと晴れた事がない。
中標津は私の好きな町、ガス欠やパンクで 町の人に何回も助けられた想い出がある。
この町のホームセンター「るっく」は 毎回立ち寄る所。昔はあやしいアダプターで有名をはせたが 今年来てみると やくざな品揃えはやめて 普通のホームセンターに変貌していたので 少しがっかりした。誰か 怪しいコンロとか 怪しいランタンとか置いている店を知りませんか?

中標津「すしロード」
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こちらへきたら まずここへ立ち寄る。昼食にする。ここの駐車場で お似合いのカップルライダーを撮影する。お二人とも いい顔をしている。心から楽しそう。さすがの私も こんな顔をされると うらやましいなと思う。ふだんは あまり人をうらやむことのない 私のはずなのだが。
すしロードとは 回転すし屋なのである。まず座るとライダーさん一丁と 連呼される。何のことかと考えていると しばらくして 魚のアラの味噌汁が運ばれてきた。店員さんが開口一番 「店からのサービスです」と説明される。我々バイクツアラーだけの おまけサービスらしい。どうりで 北海道ライダーの間で評判の高いはずである。ヒイカ(子供のイカ)の一匹づけと いわしが美味しかった。ウニもイクラも食べるのはやめておいた。他所でもっといいものを食べて 胃をびっくりさせてやる。

店内に入る前降っていた雨も 食べ終わる頃には止んでいた。
とりあえず弟子屈へ向かう。途中で 携帯から子持ち風味さんへメールを送る。

・・・・隊板にもあるとおり オフミ不可能になりました。私もこのまましばらくは 道東にいて まだ見ぬ青空を追いかけてみようと 思います。我がまま言ってすみません・・・・
子持ち風味さんには すまないと思うが 主役の隊長さんがいないんじゃどうしようもない。ぽっかりどこかに穴が開いたような 感じでふらふらと出発する。

カブツアラー?!  ←クリック
しばらく行くと 前方にカブツアラーが道に止まっている。嬉しくて 側へ寄ってお話をする。今回はじめての カブ乗りさんとの遭遇となる。
ところが・・・
バイクをよく見ると ヤマハのニュースメイトだった。しかしそんなことはどうでも良い
私と”同類”なのだ。嬉しくてお話して写真を撮らせていただく。尋ねてみると かなりの北海道ツーリングのリピーターで しかも大阪出身。しかも仏壇屋で 商業写真家!あまりの面白さに この日のモヤモヤは知らぬまに吹っ飛んでいた。
彼に 今年の北海道のホットニュースを仕入れて webで再会することを約束して(9/2現在まだお越しいただけないが)お別れした。。

弟子屈から また雲行きがおかしくなる 今度はかなりやばそう。真っ黒な雲が 天井のように空を覆っている。
今来た道を 振り返ってみてみると 青空が広がって快晴の様子。前方の空を見上げて 舌打ちをする。しかし あの中へ突入しなければならない。今年の北海道ツーリングの目的地が あの向こうにあるのだ。

道の駅摩周温泉を過ぎると いよいよ雨は本降り 阿寒に入る途中の峠のトンネルで 完全装備の合羽に着替えた。幸い ここには待避所があって、安全に支度ができた。
阿寒湖も過ぎ 釧路湿原の方へ下りることにする。晴れていれば どんなにか素晴らしいパノラマロードだろう。いまは じっと耐えるしかない。今回一番の大降りとなる。あまりの雨の強さに 対向車のドロはねで何度もしぶきを受けて よろよろと路肩に逃げる。

カブでよかった。大型バイクで走っていたなら、かなり危ない状況だっただろう。リアタイヤは ずるずる滑るしコントロールも効かない。重さと有り余るパワーはこんな時 マイナス要因でしかなくなる。雨男の私は こんな経験を 今まで嫌というほどしている。

釧路側へ下りてきたら いったん雨はやんだ。国道沿いの道の駅「白糠恋問」(しらぬかこいとい)でいったん雨具を脱ぐ。
しばらく休んでいると 西側の方向から強い風にのって ミルク色の濃い霧がどんどんと流れてくる。不思議なことに 地上から5メートルほどの高さだけの 低い霧が際限なく流れてくる。しかも私の前で いつの間にか消えてしまう。

この霧の中に突っ込んでいくのは あまり気分のいいものではない。
しばらくして 霧と風はやんで前方が見えてきたので 西へ進むことにする。
天気は怪しく ジビジビと霧雨の為 視界が極端に悪く気分も湿りがち。

気が滅入るので 今日はここらで早めのビバーク地を物色するが 雨のキャンプはいやなので ライダーハウスを探す。この旅で初めて野営しない夜となる。
すぐ側に ライダーハウスがあった。

実はここは 前々から目をつけていた場所だった。なぜなら 今回走りたい場所のすぐ側にあったからだ。

ライダーハウス「ミッキーハウス」←クリック

ここは本業は ドライブインである。素泊まり1200円 ジンギスカン定食が美味しくて ラムの焼肉(自分でコンロで焼く)に、ご飯も大盛で 香の物 味噌汁つきで800円だった。
宿泊所は ちゃんとしたここの自宅の 部屋に寝かせてもらって ふとんと風呂付だった。普通のライダーハウスは 雑魚寝で 風呂無し 勿論メシ無し ふとんなしというのが一般的だが ここは最上の部類だった。少しくらい高くても(一般的なライダーハウスで 無料〜500円程度)この内容なら 充分元が取れた。

夕食は 持込OKだが ここで取ったほうが正解だと思う。それくらいジンギスカンが美味しかった。場所は 釧路から帯広へ向かうR38号沿い 最寄り駅は JR根室本線 直別駅。詰め込まれることもなく 2人相部屋で寝られた。

ここの 相客が面白かった。ハーレーの横浜のお兄ちゃん CBR900ファイアーブレードの京都のおにいさん なぜか24インチのママちゃりで 北海道を走っている坊主頭のおにいちゃん そして夜中まで宿泊するかしないか迷っていた 姫路のGL1500のりのおっちゃん。なかでも 面白かったのは姫路のおっちゃん。

GL1500が充電不良で 充電しないままここまで来たという。 恐ろしくなって何とか小樽のフェリー乗り場まで たどり着きたいのだが 夜道を走るとたぶん 途中で立ち往生するだろう。なんせ この手のバイクは電装だらけ 青いランプやら 赤いランプやら いっぱいついて ステレオやら CDやら電気食いな装備が満載して 地球に優しくないバイクの代表だろう。おまけにエンジンもキャブではなく 燃料噴射なので 電気がなければ 一歩も動きません。

さんざん悩んだ挙句 ライダーハウスに泊まって 早朝3時に出発することになったようだ。おっさんは 寝る前にビールを飲んでいたようだが その後の消息は知らない。もしかして どこかでバイクがストップして おまわりさんのお世話になった時 飲酒運転で捕まらなければいいのだが。
ここでも カブの勝ちだと思った。(誰も勝負しているわけではないが)
こちらは キック始動でエンジンはかかるし 当然キャブ仕様だし、必要最低限の電装しかないし おまけにトラブっても 大抵は何とかなるし 自転車やさんも強い味方だし。
修理部品の入手も 比較的しやすいしで ツーリングの出先につよいバイクではある。

寝る前に 隊長さんの掲示板を読む
なんと この日 子持ち風味さんと オフ会をされたらしい。驚異的なスピードである。全く予想できない。寝ずに走られたんだろうか?パワフルな 隊長さんならではの行動だと思った。
しかし 私は参加できなかった。子持ち風味さんにオフ会を断ったことが悔やまれる。
すまないと思った。掲示板の言葉が 踊っていた。外野の皆さんの 賛辞が綴られていた。
こちらの 状況はといえば 連日雨に降られ。カブはといえば クラッチがすべり気味 相次ぐタイヤトラブル、収納ボックスのフタが走行中 不用意に飛んで 一部割れてしまって防水に不安がある、とさんざんである。たぶん約束しても 駆けつけるのは 到底ムリだっただろう。

ツーリングなんて はたで見ているほど 楽しいことばかりではない。大小のトラブルも多い。それを楽しむ余裕をもって 旅を続けるのが優れたライダーの資質というものだろう。
今日の私は そんなライダー失格であった。
なんだかんだで 少し落ち込み気味で 本来ならGL1500のおっちゃんの 話し相手になろうと思ったのだが 気力が失せてそのまま 寝てしまった。
まあ こんな日もあるか・・・
明日は もう少し自分のテンションを上げて走ろうと思う。
雨にうたれ 寒くて長い長い一日だった。雨音は 夜半からますます激しくなるようだった。
午前6時 GL1500のぼやきおやじは もう部屋にはいなかった。
予定通り午前3時に出たのだろうか?道中無事ならよいが・・

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