2005桜酔旅かぎろひ 2005/4/17

今年初めての桜旅。
業務多忙につき 出かけられず 4月も半ばになってからの旅になった。
近くの桜は全て散っていて 又兵衛桜も 盛りをすぎた頃・・・らしい。


今年行きたかったのは 吉野山 日本一 いや確実に世界一の桜の名所。
平安の歌人 西行の愛した桜の土地。





山の下から桜の山を見下ろせば サンゴの海のよう
赤やピンクの花畑が 眼下に広がっていた。













    ねがわくは 花のしたにて春死なん 

                    そのきさらぎの 望月のころ

吉野は 漂泊の歌人 西行の好きだった土地
また 南朝の後醍醐天皇 縁の土地

吉野山は 下千本 中千本 上千本 奥千本と 桜の森が続いていて 長い間 桜が咲きそろう。
実際は4千本などではなく 2万本あまりあると聞いている。

金峰山寺 勝手神社 蔵王堂など 桜に縁を持つ寺社は 歌舞伎や古典芸能に出てくる 何百年もの歴史のある古社ばかり。
それに寄り添うように 町があり人が住む。

春らんまん 吉野の町は 桜の海に埋まっていた。



蔵王堂の周りの桜は 盛りを過ぎていたけれど 葉桜の出始めた枝は
赤く染まって 花の終わりにいろどりを添えて 酔っているかのよう。

やまわらう やがて爛漫 やまうたう

早朝から 吉野のお山に参旨したおかげで 車両通行禁止時間を逃れて
お山の上まで昇りつめることができた。
                      


つづら折れの坂を登ると さらにその上に町があり 人が住み 桜の園に多くの人が生活している。
この町は明るい。暗いイメージは微塵もなく からっとしてしていて 華やかで 修験道の山への入口であることを忘れてしまう。

朝のうちに退散することにした
次の目的は 大宇陀の又兵衛桜。
本当の名前は 本郷の瀧桜
周りにはめったにない見事な一本桜

ひんがしの野に かぎろひのたつみえて かえりみすれば月傾きぬ     人麻呂

大宇陀町に来てみると 又兵衛桜の周りに 人はまばら。
盛りを過ぎた桜は 落花盛んでやせ細ってみえた。
いつもの撮影ポイントに行ってみると 見覚えのあるアフリカツインに大柄な人物が跨って
地図を眺めておられる。
見覚えのあるジャケット 黒いアフリカツイン・・・・・・としさん??!

「もしかして  ブロスさん?!」
先に気がついて声をかけたのは としさんのほうから。

懐かしい 嬉しい こんなところで 驚きの出会いがあるなんて。
「えっ本当にとしさん?」
久しぶりの挨拶に 握手をして お互いの近況報告をする。

それにしても嬉しい。
愛知からバイクを飛ばして 奈良まで桜を撮りにこられた
この人も 桜旅人 
あんまり とし板には 書き込みしなくなったけど
私はロングツアラーのこの人が 大好き。
お会いできてとても嬉しい。

次の桜の予定をお聞きして この場を分かれたが もうこの日は会えなかった。
でもいつかまた 道の上で!

ホームページを作るきっかけになった 私の恩人としさん。
たぶんまた 近いうちにあえるだろう。

大宇陀の町に戻って 腹ごしらえをしようとするが お目当ての店はお休みだったので もう一軒知人に教えてもらった 菟田野町の和菓子やへむかう

菟田野町の古市場にこの店はあった。
昼飯にするには いささか頼りなかったけど 美味しいみたらし団子には満足した。
黄色いものは 土地の銘菓きみごろもというらしい。スフレの外側を玉子焼きでくるんだようなお菓子。
←リンク

急いで次の撮影地にむかう。
榛原の町から 東にむかい少し入ったところにある 仏隆寺。
室生寺の奥の院になるそうだが ここの急な石段の参道の途中に おめあての
エドヒガンザクラが咲いている。
前に来た時は 又兵衛桜が満開のときに まだ3分咲きだった。
ことしあちらは見頃を過ぎていたけれど こちらは満開の桜に出会えた。

先に行かれたとしさんは もう移動されたようで 影も形もなかった。
まあいいや またあえるさ。

里の桜は終ってしまったけれど ここにまだ巨樹が残っていた。
付近の幟には 「千年桜」の表示があったけど 本当のところはどうなんだろう?

やわらかな日差しに 満開の桜。
沢山の人が桜に集い 見上げ 眺め 酔う。
満開を迎えて 真っ白な花びらは 日に映えて 谷すじを明るくする。

としさんも撮影されたであろうこの桜を ゆっくりと眺める。
他のカメラマンは こんな人の多い場面では けして撮らないだろうこのアングルを あえて狙う。

私は桜と桜に酔う人が見たいから。
さくら さくら はなざかり。

しばらく堪能してから 久しぶりに 瀧倉神社の権現桜にむかう。
ここはいつ来ても人が少ない。


しらないおばさんが 撮影に気がついてポーズをとっている。
まあいいや 
桜はやはり盛りを過ぎて 葉桜になりかけたところ。

花吹雪を撮影していたアマチュアカメラマンに出会った。
カメラは大きなレンズの銀塩のプロ用カメラ。
 ここで付近の一本桜の情報をお聞きするが 全て満開を過ぎているらしい。

やわらかな奈良言葉の紳士で 耳障りのよい言葉は お聞きしていて
心が和んだ。ここでは以前にも 同じような方とお話しした。

来年も ぜひまた来よう。

さあ帰りはゆっくり帰ろう。ここから自宅までは 2時間くらい。
暖かい春風に吹かれて帰ろう。

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