北海道最終日 でももう一走り
第九夜船上 そして帰着

沢山のエンジンの音で 目が覚めた。舞鶴からの ミツバチ(ライダー)たちを乗せた船が 今着いて これから各地へ 飛び立つところだった。私は フェリーターミナルの玄関脇で 寝ていたので 降船客に危うく踏まれそうになった。気がつけば 私以外の人たちは まだ高いびきで寝ていた。恐ろしいひとたちだった。
早朝だったが ちょうどよかった。今から もうひと走りできる。小樽港出航は 午前10時 今は午前4時半。9時に帰ってくれば大丈夫 最悪9時半でもいけるだろう。5時間もあれば かなり走れる、最終日になって やっと晴れるなんて皮肉なものだ。

小樽から一番近い ツーリングコースといえば 
朝里峠から定山渓を廻って 札幌を廻って帰ってくるコース。
日本海沿いに東征して 石狩浜からUターンするコース。
西へ向かって 積丹半島の 神居岬(かむいみさき)まで行くコース。

考えた末 神居岬に行くことにした。

古平←クリック
余市〜古平〜美国。 古平といえば 何年か前トンネル崩落事故のあったところだ。
その年 通った時は 事故の後も生々しく 慰霊碑や無くなった方の写真が 置いてある
小屋があって 線香の匂いを 生々しく憶えているが あの豊浜トンネルも キレイに改修されて 昔の面影は無い。始めから このように工事をすれば あの悲惨な事故は 起こらなかったのにと思ったが 他にも北海道には このような Aクラスの危険箇所が いっぱいあると聞いて ぞっとした思いでがある。

ちなみに 神居岬周辺は 昔からのアイヌの霊場だと誰かに教えられたことがある。沢山の霊が集まるのだそうだ。
あとの二つは 茂津多岬 そして雄冬岬だそうだ。いずれも 陸の孤島だった所だ。

小樽から 45kmくらい走った地点で気がついた。このまま 往復したら100km以上ある。私のカブは リザーブまでで100kmの航続距離。私が飛ばしすぎか 結構燃費が悪い。このままいけば 燃料切れで フェリーに乗れなくなる。早朝の為 わずかにあるガソリンスタンドも どれひとつとして開いていない。
しかたない! 断腸の思いで 引き返す。早朝から開いている ウニ丼屋にもたどりつけなかった。残念!!

余市まで戻ると スタンドはあちこち開いていた。やっぱりR5号は 幹線国道だ。今から引き返せば 今度こそフェリーに乗れないだろうから すっぱりと神居岬と うに丼はあきらめることにした。

余市の猫 ←クリック
気晴らしに道の駅 スペースアップル余市に寄ってみた。
ここで 野外にあるベンチとテーブルに お猫様がいらっしゃったので ご挨拶がてら 猫じゃらしなどして お相手したら、結構のりのりで遊んでくれた・・・・が 調子に乗って顔を近付けると 猫パンチを3発もくらってしまった。
まあ つめを立てていなかったので 手加減したのだろうが(足加減?)いきなりそれはないでしょう。きまぐれなやつ!

乗船 ←クリック
船に戻ると 今まさにミツバチ共が 乗り込んでいる最中だった。今日も バイクは多く
157台と聞いた。大阪 尾張小牧 奈良 香川 広島 沖縄・・・ いろんな県のナンバーが順番を待っていた。あとは 乗り込んで帰るのみ。少し寂しさが こみ上げてきたが 今年は 一部始終を撮影するつもりなので 感傷に浸っている暇は無い。webで見ている皆様に 雰囲気だけでも伝えたい。

やがて私も乗り込んで 出航。やっぱり寂しい。

BM救助隊の隊長さんは JRに乗られたのだろうか?
アレきり連絡はしていない。私とは スタイルが全く違う。
とても 素敵なスタイルだと思う。実況中継型電脳ツーリング。とても楽しそう。
何処からも 支援があって 一人で居てもひとりじゃない。いつも誰かが 伴走しているようだ。今までこんなスタイル 見たことが無い。すごいことだと思う。

私にはとうてい おなじマネはできないけれど。

旅の終わりは 日常の始まり
帰りの船は 2等寝台 往きは2等だった。往きは情報収集や ライダー達との酒盛りで 雑魚寝の2等がよい。しかし帰りは ひとりゆっくりとベッドで眠りたい。でないと 疲れが取れない 明日から仕事なのだ。気持ち的に ツーリングは半分終わっているのだ。残念ながら これが現実だ。
船内では 映画など見て過ごした。ビールは いくら飲んでも酔わないので やめておいた。帰りの船はいつも憂鬱だ。

翌日 夕方5時にやっと舞鶴に到着した。いつものように バイクの下船は一番あとまわし。だだっぴろい客室で ライダー達だけがぽつんと残される。天気が悪くなってきたので 早く下船したいのだが・・・・

下船 ←クリック
やがて アナウンスがあって 我々が船倉に下りていくと 車の降りきった空っぽの船倉は バイクたちの明滅するテールランプと ヘッドライトが ホタルのように明滅し 甲高いうなり声を上げるオフロードバイクが まずウォーミングアップをする。

やがて ほの赤い船内を一匹また一匹と 船員に誘導されながら ホタルが地上へふわりと降りていく。 このように 全部の出船を見るのは初めてだが こんなにキレイだとは知らなかった。やがて自分も あやうく忘れかけていた下船の為 虫の一匹となって かごから飛び立つ 幾人かのライダー達はまだ港にいて 名残惜しそうに 船内で知り合った仲間との別れを惜しむが ぽつぽつと降り出した雨に 夢から覚めて、ひとりまた一人と ねぐらに帰っていく。事実上 ここが今年の夢のおわり。あともうすこし 無事に帰りつけホタル達!。
エピローグ
行きも帰りも そして途中も ずっと雨。お天気に恵まれず、曇り 雨の繰り返し。
でもいろんな出会いがあった。今年も面白かった。走りながら考え 濡れながら考え 考えながら 走った。しかし まだ走り足りない もう少し走りたい。もうすこし・・・



何もかも 飲み込んだ思いを積んで うちへ帰ろう。
心配している 家族のもとへ。



旅行中 お世話になった皆様

北海道で お会いした皆様
webでご支援くださった皆様

そして 長文 乱文 愚痴 全部お付き合いいただいて 読んでくださった皆様。

ありがとうございます。心よりお礼申し上げます。
2003年 夏 ブロスP1 







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