紅葉の剣山スーパー林道

プロローグ
今回 去年の剣山ツーリングのリベンジに あらためて臨むことにした。
ただし コースは反対廻り そしてメインは日本一の最長林道 剣山スーパー林道に決定した。ただし 本当のメインは 紅葉撮影 幸い初日はピーカンの予想。きっとスカッと晴れた 素晴らしい画像が撮れる予感がする。

仕事を終えた後 早めに帰って 出発準備をする。今回は 林道を走るので 荷物は極力減らすため テントなど野営道具は 持って行かない。どこか宿を取る事にする。お天気が悪くなるようだったら 最悪の場合は フェリーで帰ることにしようと決めた。こんな時 大阪は 便利だ。九州でも おなじ手が使える。ただし日帰りは さすがに無理だが。

ナイトラン
グズグズして なかなか腰を上げられないでいたが 午後9時50分ごろ 大阪高槻の自宅を出発する。行き先は和歌山港 南海フェリー乗り場。
夜のイナイチ(R171)から 外環状 そして中央環状線で堺方面へ すいすいと混雑も無く 車の流れに乗って進むが 堺から先泉州が曲者 太い道路をずいずい進むが オーバーパス(高架橋)に注意しなければならない。ここは 原付通行禁止なのだ。
しかたなく 側道を選ぶが 必ずしも側道は 本道に沿っているとは限らず この時も 終いには あさっての方角に迷い込んで 引き返すことになった。しかたなく 浜側の旧道を行くことになる。大分時間をロスして 和歌山港に着いたのは 午前0時50分。

海路
フェリーは 0時40分に出たあとだった。次の船は午前2時20分まで出ないので 待合室のベンチで仮眠することにした。
次の船に乗り込んだはいいが またも爆睡してしまって 徳島に着いたときも 熟睡して起きられず 船員さんに起こしてもらったが 周りを見ると 乗客は下船していて誰もいなかった。船倉に下りると 車は下船していてもうまばら 残りは2台ほどのバイクと 乗用車のみだった。

徳島
焦ることはないと 自分に言い聞かせて徳島市街へ ラーメン店を探しに行くが この時午前5時前。早朝までやっているラーメン屋も無くて しかたなくJR徳島駅の バス待合のベンチでまた夜が明けるまで 仮眠する。(良く寝ます)

6時起床 駅前のコーヒーショップで朝食をとって パタパタと剣山方面へ向かう。
しかし寒い。冬支度で皮パン スノボジャケットの 重装備だが 若干寒さが伝わってきた。このまま山に直接行けば 震え上がりそうなので 作戦変更して 南回りから攻めることにして 遠回りルートを選ぶ。

鷲敷(わじき)ライン
R55 小松島から県道24号を通って 土佐中街道R195にスイッチ。西に向かって 鷲敷ラインを行くことにする。
ここは ライダーお勧めのルート。緩やかなカーブ 緩やかなのぼり 信号も無く 景色もキレイで言うことなし。
相生 上那賀と過ぎて R193の交点までやってきた。
まっすぐ北へ上がれば 木沢村のスーパー林道の途中地点へ出るが こちらへは行かずに R195を西進する。まずは 紅葉の名所 高の瀬峡へ向かう。

高の瀬峡


8時過ぎ 木頭村の高の瀬峡レストハウスに到着 小休憩と買い物。アマゴ姿寿司と 蕎麦米を購入。ここの食堂で 蕎麦米雑炊が食べさせてもらえないか 聞いてみるが メニューには無いという。付近にも 今は食べさせてくれるところは 皆無だという。
他を当たることにして まず高の瀬峡見物。それなりにキレイで 見上げる山上までずっと赤く色づいている。これが西日本一の紅葉か・・  うーん こんなもんかな?
確かに キレイだがなんかなー少し規模が・・・でもまだまだ これかららしいと 売店の人に聞いて納得した。
アマゴ姿寿し
剣山スーパー林道
納得した所で メインのスーパー林道に突入する。しばらく走ってゆくと 少しずつ慣れてきて 周りを見ながら走れるようになる。高の瀬峡よりも こちらのほうが 数倍キレイだ。
ここまで来て良かったと 大満足する。

今回 なぜここからスーパー林道入りしたかというと 朝の澄んだキレイな空気と 光線の中で 紅葉が撮りたかったから。私の場合 バリバリのオフライダーさんとは目的が違って 紅葉見物のお気楽ライダーですから。スーパー林道の紅葉

山の家 奥槍戸で小休憩する。ここまで 早朝ということもあり 道はガラガラ。しかも 通行車両は 四駆の自動車と オフバイクのみ。路面は しばらく雨が降っていないせいか 砂埃は多いが フラットでとても走り易い。
カブは 目を三角にして カッ飛んで行くオフバイクに道を譲って 肩の力を抜いて トボトボ ボテボテと歩く速度で 上り下りする。
気に入った所があれば 路肩に寄って休憩&撮影。原動機付・自転車? とは言い得て妙だ。数年前 オフロードバイクで来たときは 景色も見ず 路面ばかり気にして走ってたなあと回想して ひとり苦笑する。荷物も 最小で大正解。バイクの醍醐味は 軽装に有り!!

ぼてぼて トボトボ 危なげなく路面も良く R193の交点まで来たが もうこれで堪能した。
後半の上勝へ行くスーパー林道後半コースはパスすることにした。時刻は すでに午後1時前。どうりで お腹が空くはずだわ(笑)

R173を下って 木沢村の四季美谷温泉によって 美味しそうなものを覗くが かわり映えするものは無く 蕎麦米雑炊も無く 売店の村人に 付近のお勧めの蕎麦やの場所を聞いて 向かうことにする。

廃バスの蕎麦屋さん
役場前の 廃バスを利用した 蕎麦やさんには 私しか客はなかった。
人のよさそうな オバちゃんに 天ぷらそばを頼んで 村人にここの場所を勧められたこと、高の瀬レストハウスや 山の家 ファガスの森や 四季美谷温泉 などことごとく 行ったが 蕎麦米雑炊は無かったことなど ぽつりぽつりと聞いてもらった。
オバちゃんは アレは 手間がかかるのと 注文が少ないので 何処も出していないこと 上の施設は どこも経営者が替わったので 田舎料理は出さないことなどおしえてもらった。
オバちゃんは 私を気の毒に思ったのか 手間のかかる蕎麦米は出来ないが 蕎麦米の吸い物(おつゆ)を つくってくれた。感激の味に 私は感謝感謝。きてよかった。
蕎麦より美味しかったといったら、オバちゃんおこるかな?蕎麦米のおつゆ

帰れコール
腹も膨れた所で 友人のRさんから電話が入る。R「何してんの?今何処?」 
私 「剣山スーパー林道」
R 「??えっ!?」たぶんRさんは絶句している(笑)
私は この人を驚かすのが 一番楽しい。
彼によると 明日会いたいという。病院から電話してきた。

彼は 私が 何処からでも帰ってくることを知っている数少ない人間だ。
それを見越して 会いたいという。思わず明日会うことを 約束してしまった。
お天気も下り坂だし、明日の昼11時までに Rさんに会いに行けば間に合うので 今日一日 めいっぱい 楽しむことにしよう。
予定を区切って 帰るまでの時間を決めたことで 俄然ツーリングが面白くなった。


木沢村は 四国山地の剣山系のど真ん中にある村のひとつだ。
このまま 北へ向かって高松まで カブで3時間くらい位の道のりだろうか?
高松からフェリーで 神戸へ渡って 4時間さらに高槻まで 1.5〜2時間くらいだろう。

今ら向かうと 8時の船に乗れば 夜2時頃自宅に帰れる計算だ。
しかし これでは面白くない もうひとつのコース 途中から R439に入って大歩危に抜ける道もあるが これは時間がかかりすぎて 山の中で日が暮れるだろう。

第三の道 このまま下って もう一度朝走ったR195に出て 高知方面に向かいそれからどこかで 北に向かい讃岐地方に向かうことにした。

リターン・ザ・鷲敷ライン
もう一度 鷲敷ラインを西に向かい 土佐中街道を走り 物部村まで快走する。
ああこんなところに ライダースインがあった。ライダースイン奥物部。キレイな施設だが ひとけが まったくなかった。宿泊客はいるのだろうか?一度利用したいと思っているが 
ひとりだと 料金が高くつくらしい。いつもソロツーリングなので 宿泊の機会を逃している。港やバス停で仮眠する私なので こういったところにはとんと縁が無いが おなじ趣味のものが宿泊して 話が出来ることに興味がある。

ツーリングライダーに会って お話しができる機会は なかなかなく夏の北海道ぐらい またはツーリングライダーの多い平湯キャンプ場や 阿蘇のユースホステルとか 駒ヶ根ユースとか あんまり知らない。関西にはなかなか無く いい場所を探している。

R195の物部村から R439に抜ける県道を見つけて 付近の人にR439までの所要時間を聞いてみると 誰も知らない。地元なのにと思っていると やっとプロドライバーのおじさんが答えてくれた。それによると 3時間くらいかかるとの事。

これでは 高松港フェリー乗り場に 8時には間に合わない。しかも真っ暗な山の中の走行になるだろう。
大人しく このまま高知の近くまで出て R32号から迂回することにした。

北へ
南国市から道は広くなり 快走できるが 注意しないと 警察の取り締まりも多く 自制心も必要になる。カブだって 90ccのやつは80kmくらいは楽々出てしまう。
そう思っていると 一台自動車がパトカーに捕まってしまった。危ない危ない!

大豊から 西祖谷山村へ入ると山深さも増して いよいよ秘境の様相を呈してくる。四国の大動脈R32号の 最深部に入ったことを 思い知らされる。
大歩危から入ったところの秘湯の「祖谷溪温泉」に行きたかったが 時間が無く断念してこのままR32号をまっすぐ進むことにする。

祖谷溪温泉は 崖の上にあるホテルが経営していて 谷底にある露天風呂に入る為に 自前のケーブルカーに乗って降りていく名物温泉が有名で お湯はさらさらですべすべの気持ちの良いものだったので 以前行ったもののもう一度入りたかったのだが また次回チャレンジしよう。

うどん街道
やがて 讃岐の国に入る。財田(さいた)町に入ると うどんのカンバンが目立ってくる。
もう午後5時台に入って 主だったうどん屋は閉まっているだろう。
ここからだと あそこしかないだろうと 見当をつけて 琴平方面に向かう。
しかし もう暗く 場所も うろ覚えだが なんとか 満濃池方面の道を見つけた。

目指すは 満濃トライアングルの 「長田うどん」讃岐うどんの名店のひとつだ。
勿論 讃岐の人に言わせると もっともっとおいしい所を 勧められるが この時間開いてはいないだろうし 開いていても多分美味しくないだろう。なぜなら 製麺所直結のうどん店は閉まるのが早く しかもこんな時間では 打ち立てのうどんは食べられないだろうから。

小縣家
長田うどんに到着したのが 午後5時45分。間に合ったと思ったのもつかの間 良く見ると暖簾が出ていない。もう閉店だった。
しかたなく 向かいの小縣家に行く。ここも電気を落として 暗くなっていた。未練がちに 中を覗くとまだ営業していた。 ああ よかった!!

勇躍 中に入って がらがらの店内で ここの名物しょうゆうどんをオーダーする。小で400円也。しょうゆうどん(^_-)-☆
名物だけあって うどんは美味しく きりっとした角の立った麺と 自分でおろす大根のうまさで大満足。閉店時間を聞いてみると なんと午後6時!?
私は ギリギリセーフだった。私が 頼んだ時がラストオーダーでありました。
小縣家さん そして讃岐のうどんの神様 ありがとうございます。

月明かり
食事を済まして 店を出るとあたりは真っ暗。 出発すると右も左も さっぱりわからず 道路標識を頼りに 何とか走り出す。
こんな時は 自分の方向感覚を頼りにするしかない。
幸い晴れているので 時間と月の方向で 大体の方角は読める。午後6時過ぎなので 月は東より少し南よりにある。ということは 大体北の方角 高松方面はこっちのほうと見当をつけて 真っ暗な県道を走り抜ける。やがて 大きな道R32号に出た。

ここからは快走路 あっという間に高松についたが 大きな町はかえって不便だ。ジャンボフェリーの乗り場が判らない。人に聞きまくって ようやく到着したのは 7時過ぎだった。神戸行きの船は 午後8時に出航した。神戸まで4時間の旅。すぐに寝てしまった。
おっと その前にオヤジへのちょっとしたみやげ物を買った。

神戸港到着は23時40分。
起きてみると またもや人影はまばら 寝過ごしたようだが 何とか自分で起きられた。
恥をかかずに済んだと 胸をなでおろすが 早く船倉に下りないと また注意されるので 慌ててバイクのあるところまで 降りていく。我ながら たびたび 熟睡するとは図太いと思う。フェリーに乗ると 寝てしまうクセがついてしまった。

神戸快走
神戸港を出て 快走路R43号線を行く。今の今まで ここが制限速度40km/hだとは 気がつかなかった。今日やっと気がついた。>今までは??ふー危ない 危ない!
・・・で今までより 少しスピードを押さえ気味に走ることにした。
といっても 前を走るカワサキW650の後ろをずっとついていっただけだが。
 他の自動車などは ずっと後ろを走っていて 誰にも抜かれなかった。
おかげで 前後左右 反対車線まで注意して走った。

これでも 金帯免許なんである。

スピード取り締まり
いつもは イナイチを(R171号)まっすぐ帰るのだが この日は気まぐれに 中央環状線で 茨木市まで走ることにする。こっちのほうが 随分近道で 交通の流れも速く 快走路である。気持ちよく 走っていると案の定 ニッサンマーチ(ゴーンさんのやつ)が パトカーに捕まっていた。
やがて そのマーチが解き放たれたのか 私の前に突然飛び出してきた。
「危ない!」とっさのことだったが 回避できた。しかし 思いっきりホーンで警告したので パトカーのおまわりさんに 睨まれてしまった。やばいやばい!

やがて そのことも忘れて 茨木の分岐まで走り続けた。
ふと 廻りの車がまばらになって 私のバイクだけが 一台だけとても目立つようになってしまった。
そのときだった。
「ウウウウゥ〜ッ」 けたたましい音と共に 後ろで赤燈が眩しく回り始め やがて警官のアナウンスが 低く流れた。「・・・・の○▲◎■〜☆止まりなさい!!」 

「エッエッッエッ?オッ オレッ??!」   「やっ やばっ!」
しかし おかしい。捕まえるには少しだけ離れている。冷静に 知らん顔して 気がつかないふりをして おもむろにスピードを落としながら 走り続けた。
こんな時は ブレーキは踏まない。踏むと目立つので あくまでもエンジンブレーキでスピードを落とす。
冷静に ミラーで後ろを見ながら観察する。やがて 後方の車が いっせいに私を抜きにかかる。
「おれ等はしらんもんねー」と 言っているようだった。

さらに慎重に 観察を続けると どうもターゲットは私ではなく パトカーの横を走っていた自動車だったらしい。
「ああ よかったっ!」肝を潰した。ほんと心臓に悪いわ。
真横に走っている車を 捕まえるなよ!・・・私でなくて 良かったけどね。

捕まったのは 派手な自動車だった。
私が思うに 先ほどのパトカーが私の事を 捕まえるために ずっと後ろをつけてきたんだと思う。夜はしょっちゅう 私のカブは50ccだと思われて 追いかけられることが多いからだ。しかし 私のカブラは原付2種だ。捕まえるには 無理がある。
スピードが出てなくて よかったー。

繰り返し言おう 私は 金帯免許持ちである。別に 威張ることはないんだが・・・

・・・・高槻の自宅には  午前一時過ぎに帰ってきた。
  
 長い一日だった。

今回も 無事 帰ってきました。 ツーリングの神様ありがとう。
ツーリング前 積算距離 31616km
ツーリング後 積算距離 32195km


総走行距離  579km


大阪高槻〜R171〜R170〜R1〜大阪中央環状線〜R26〜和歌山港〜海路〜徳島港
徳島〜R55〜県道24〜R195〜徳島県木頭村 高の瀬峡〜剣山スーパー林道〜
R193〜木沢村役場前バス蕎麦〜R195西行き〜四ツ足峠〜物部村〜南国市
R32〜高知県大豊町〜徳島県西祖谷山村〜香川県財田町〜県道197号満濃町〜R32
〜R11〜高松港〜海路〜神戸〜R43〜R171〜大阪中央環状線〜R171〜高槻

エピローグ
翌日 午前11時に 予定通りRさんに会いに行った。
彼は言った 「おう やっぱり帰ってきたな」
そう、 私は約束を守る男。守れない約束はしない。
Rさんは にこやかに笑っていた。
「えっ もう退院するのかよ!」彼の手術は中止になったらしい。

こんなことなら もう少し紅葉見物してれば よかった!
・・・でも今回も楽しかったよ。


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