北海道第六夜 
天の道から楽園の入口へ

 
8月14日
快適な 道の駅の休憩所で目覚めた朝。いつものように カブのご機嫌伺いにゆく。
ツーリングに出ると 特別に朝が早くなる。
ああよかった。
タイヤは昨日のまま 異常無しだった。これが正常のことなのだが、今朝は無性に嬉しい。このまま 何処までも走れそうだ。

今日のメニューは十勝から日高を越えて あとは 適当なところまで。距離にすれば たいして走らないつもり。
日高越えは 普通に越えるとすれば 昔からのルート、襟裳岬を越えて行く海沿いのルートだが 前に何度か通った事がある。

天馬街道
今回通るのは 4〜5年前に出来た道、R236号 通称 「天馬街道」 新しい道を走るのはいつもわくわくする。ここを走るのも 今回の目的の一つ。大樹町の道の駅を宿に選んだのは 天馬街道の入口に近いからだ。

あさ7時に出発する。荷物はほどかずに宿泊したので スタートは楽だった。豊似の交差点から 天馬街道に入る。ここから62kmは ガソリンスタンドが無い・・・とツーリングマップルに書いてある。こいつが無ければ北海道は周れない というくらい必需品だ。

やがて山道へ
白い霧が 標高を上げるごとに濃くなって やがて霧雨に変わっていった。シールドに 細かい水滴がつき始め やがて大きな雨粒となって 左右に流れ始めた。そしてガスの中を突き進むことになった。周りは 乳牛を飼う牧場が 沿道にずっと続いている。
大樹・・雪印・・・乳牛・・そうか、あの数年前の 雪印食中毒事件の舞台が 大樹工場だったな。みんな 喉もと過ぎればなんとやら。すっかり忘れてしまって きりのなかだった。

やがて 峠のトンネルに出た。
どうやら 振り返ってみて気がついたが 雲の中をはしってきたらしい。

長い長いトンネルを走って 考えていた。これで道東ともお別れだ。道東にくるのが目的で 北海道ツーリングに来たのに 殆ど良い所には寄らず このまま素通りしてしまってこれで良いのか? いやこれで良いんだ。毎日毎日 こんな天気じゃ 北海道に来た意味が無い。私は あおぞらを見に来たんだ・・・・

サラブレット銀座
やがて 十勝を抜けて 日高山脈側へでた。そこでは 見事に雨が止み 薄日が射していた。万歳、やっと雨抜けしたようだ。久々に 灰色ではなく 緑の牧場を見た。
そこでは 山の反対側とは様相を一変させて 乳牛の牧場ではなく 競走馬の牧場だった。 気がつけばこの道は サラブレット銀座と呼ばれる場所の ど真ん中をはしっていた。

馬横断注意
沿道に サラブレットの優雅な姿が あちこちで見られ 濃い緑の牧場と共に 馬の姿を見て しばし癒された。優駿という懐かしいカンバンが あちこちに見られた。

途中 山の中を静内まで 裏から抜けてゆくルートを選択しようと思ったが 4〜5日前の台風の影響で 国道以外の道々は 通れないらしい。。
あきらめて 海沿いの道まで出ることにする。
国道に出てから 北行きのルートを取る。国道235号線は 台風の爪あとを生々しく残して それでも動脈としての機能を果たす為 なんとか開通していた。

あちこちの 道路端には 大水で 流されたと思われる土砂の後を かろうじて横へ掻き出して、何とか通行できるように 応急処置がしてある場所が ところどころ見られた。
その場所の 山側を見上げると 見事に山肌が削られていて 嵐の仕業がいかにすごかったか想像できた。
また 流された橋の為に 仮設橋が早々と架けられ その隣では元の橋の復旧工事が進んでいた。

途中、道の駅に寄って 売店のオバちゃんに付近の様子を それとなく教えられた。
国道は 何とか復旧して 今は機能しているが 山側へ入った道々や市道は ずたずたに寸断され 復旧の見通しは立たないという。近くの 山の中の町では 牛や馬や サイロや橋までが流されて 大きな被害が出ているという。

大きな台風が めったに直撃しない北海道は いざ 嵐が来たとき とても弱い面を見せるようだ。
北海道上陸後 私はすぐさま北行きのルートをとって 札幌から稚内に向かったが 同じフェリーに乗ったグループで 小樽や札幌から襟裳に向かったグループが沢山いたが あの人たちは どうなったんだろうか?あのまま走ったら 台風直撃コースだったはずだ。
あのライダー達は ひどい目に遭ったんだろうか? 

私の場合 もともと行く先の計画ルートは流動的で 晴れ間を見て走るスタイルなので 難を避けられたようだ。なんせ北海道上陸まで 具体的なルートが決まっていなくて どうしても行きたいポイントだけ押さえる事にしていた。天馬街道 熊の湯 中標津 富良野 美瑛  羊蹄の噴出し湧水 あとは適当に楽しい所。まさにロシアンルーレットスタイル。
アイヌ文化博物館
みちなりに行けば 苫小牧に着くが 富川から沙流川沿いに R237号を北上して富良野を目指す。途中 アイヌ文化博物館がある 平取(びらとり)に寄る。

ここは真面目な博物館で 観光化していなくて 人も少なく私は好きで 良く来るところだ。今回は 茅野茂記念館にもお邪魔した。二つの博物館は 形のみならず こころを伝えようとしていると感じた。平取では かなりの時間居たように思う。

側の国道脇に食堂があって 簡単なアイヌ料理が食べられます。
クリック↑

この時、掲示板に 富良野へ向かうことを書き込む。

お決まりの雨雨雨

平取をあとにして いよいよ富良野に向かう。
日高 占冠(しむかっぷ) 南富良野から富良野に続く道は 花人街道と呼ばれる。
ここまで花曇りで 薄日が射して お天気に期待が持てたが 富良野の市街地に入ったとたん 黒雲と共にあたりはにわかに暗くなり 突然大きな雨粒が、ようやく温まったジャケットを濡らし始めた。たまらず付近のホームセンターに逃げ込んだ。見れば沢山のライダー達が 雨宿りをしたり 雨具を着る為に ここに入り込んでいた。

私は 雨宿り組。空を見ると まもなくこの雨も やみそうだったので、ゆっくり店内を見て周って楽しんだ。やはり大阪の店と較べて アウトドアコーナーが充実していて 見ていて楽しかった。

夕立は やがて小雨になってきていた。北の空を見ると 何とかいけそう。そこでゆるゆると出発することにした。
しばらく走ると 予想通り晴れてきた。そこで富良野駅前に戻ることにした。

ここで久しぶりに 自分のサイトの掲示板に「富良野で昼飯は 何処がお勧めですか?」
と ある富良野大好きライダーさんに 質問すると うまい具合に すぐ返答が帰ってきた。すし屋 焼肉屋 ラーメン屋と回答が帰ってきた(ありがとう組合長さん)

そこで 一番よさそうな三日月食堂に行ってみた。

三日月食堂
店内は 順番を待つ客でいっぱいで まさに行列のできる店状態だった。
醤油ラーメン ←クリック
注文が来るあいだに 自分の掲示板を覗く。ここに来て うちの定連さん以外は ほとんど書き込みがなくなっていた。しかし 先ほどの 富良野へ向かうという書き込みに 反応があった。BM救助隊隊長さんのサイトの掲示板を読んでみる。

隊長さん じきじきに返事があった。「私もそちらに向かっています。お会いできるかもしれませんね」

えっ まさか?そんなとこはしっているんですか?私の予想では 当然道東の知床か 摩周湖 阿寒あたりに行かれると思っていた。あまりの展開に驚いたが もう一度チャンスをいただけるのなら 何処でも駆けつけなければと思った。なんせ 隊長さんだけではない 沢山のweb上で見ている人達が 期待しているのだ。久しぶりに目的が出来て ツーリングが面白くなったが 一抹の不安もあった。

私の携帯の具合が悪い。掲示板へのアクセスがなかなかうまくいかない。電池の具合が悪く 外部電源も不具合が見られるなど 肝心の情報が得られないことが多かった。

とにかく 準備の為に早くどこかにベースキャンプを決めて 落ち着かなくてはいけない。
そこで日の出公園キャプ場で 仮宿することにした。

  上富良野 日の出公園キャンプ場
     ↓クリック
ここのキャンプ場は 初めてだったが キャンパー達の評判がよかったので 立ち寄ってみたが 評判どうりのキレイで便利な施設だった。ここに来る人たちも 一般的な普通の人が多く あまり癖の強い人は来ないようだ。ちょっと物足りないが フレンドリーで親切で 行儀のよい人達だった。キャンパー達の人数は 脅威的に多く、駐輪場のバイクの数だけで 100台を越えていたと思う。これにプラス バイクより多い車のキャンパーもいて キャンプ場は ごったがえしていた。

仮宿を設営して 一息ついて 隊長さんの様子を調べる為に 隊長さんの掲示板にアクセスする。
「今日中に そちらへ向かいます。美瑛は今回の目的地です」
え〜 今日中にこちらへ来られるのですか?

私はあせった。

待ち合わせ場所の 「山頭火」美瑛店までは 20〜30分くらいで行けるが 日時と時間がわからない。会話の中で 書き込んであるのだろうが あまりに沢山の書き込みがあって どれが目的の書き込みか見つけられない。しかも 私の携帯では 字数制限があって、長いレスは上だけ表示して 下は全部カットされる。つまり長文の書き込みほど 結論が読めないのだ。

「いまから 行きます」と掲示板に書き込んだ。
 晩飯は抜きにして とにかくテントの設営だけ済まして 隣の人に声をかけて出発した。「いってらっしゃーい」見知らぬ他人で 今日だけ隣人の隣のテントの家族連れが 平和そうに私を 見送ってくれた。

ラーメン屋「山頭火」美瑛店は 国道に面した 目立つ場所に立っていた。まだBM救助隊隊長さんは(ハンドルネームです 自衛官ではありません)来られていない。

なんか おかしいので もう一度隊長板を 見る。
あいかわらず 書き込みが多く 何度も携帯の電池を挿し直しながら やっとのことで 状況を把握した。
どうも 注目の初顔合わせは 明日らしい。そのときwebで覗いているみなさんは インスタントの「山頭火」ラーメンを 二人に合わせて同時に食べるイベントがあるらしい。

私も参加しているはずなのだが 全く他人事のようだった。お膳立ては 整っているらしいのだが、話が全然見えない。断片的にしか 書き込みが読めないので もう一つ全体像が見えない。
だが とりあえずイベントは明日のようだったので 元のねぐらに帰ることにした。

「ねぐらに 帰ります」
また新しい書き込みをして 皆さんを驚かせたようだ。

「ブロスさん 一体なにやってんの?」という声が 聞こえてくるようだった。 
私は 一体何をしているんだろう。情けなかった、アクセスしても すぐ電気がダウンして切れてしまう携帯を 捨ててしまおうかと思った。

すっかり暗くなってしまって これからキャンプ場で飯を炊くのは嫌なので 付近のスーパーで夕餉の買い物をした。閉店前の売れ残りで いいものがゲットできた。これを怪我の功名と言うのかどうか・・・生ウニの軍艦巻き5貫入り 300円也 富良野メロン半切り 150円 かに半身400円 黒ビール・・・疲れているせいか 無性にうまかった。

明日は 隊長さんと飲めるかな?

そういえば 子持ち風味さんは 14日は旭川で盆参りの予定と 知らせてくれていたなあ
夜は 盆参り本番でお忙しいと 前にもらったメールに書いてあった。
すぐそこにおられるのに連絡せず やっぱり不義理をしていることに後ろめたさを覚えた。しかし こんな時間にいまさら連絡しても もう遅いし。全てに対応が遅く 後手後手にまわっていた。

明日 無事に隊長さんにお会いできるのだろうか?
まだ この時点では 待ち合わせ時間さえ知らなかった。
明日それとなく 聞いてみよう。

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